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冒険と街 その3 by河村

前回までの
冒険と街 その1」、「冒険と街 その2
はこちらから

 

さて、ようやくフローレンス島へ到着し、朝からコモド島へ向かいます。インドネシアは一般的に「船」=「木造船」です。もちろんお金持ちの方々が乗っているのは超立派なフェリーみたいな船ですが、一般人の我々はオンボロ木造船です。

 

オンボロ木造船だけあって本当に遅い。日本の船で移動するなら1時間で行けるところを片道3時間以上かけて移動します。事前の情報で「私たちの前の便は転覆して船がバラバラになったそうです。」とサラッと恐ろしい情報を笑顔で伝えてくれるクルーにようやく秘境感を感じました。

 

移動がとても遅いので横になれるスペースが作られています。まるで難民スタイルです。(難民スタイルの木造船)
「船が遅い→エンジンを良いものに替える」ではなく、
「船が遅い→寝ていけ」この発想が形に変化をもたらします。
船の全体は軽トラのエンジンに10tトラックの荷台をのっけたような二階建てに。とてもバランスの悪い形で横風を受けると信じられないぐらい揺れます。(木造船の外観)

そんなこんなで、さらに小型ボートに乗り換えようやく崩れる寸前のコモド島につながる桟橋に到着。(コモド島の入り口)

島は「国によって管理されている」とは言ってもほぼ野ざらしで、コモドドラゴンは個体数のカウントをしているぐらいだそうです。

島を歩くにはレンジャーを雇います。このレンジャーが先頭を歩き、その後をついていきます。レンジャーの装備はただの木でできた刺又。
島を歩く前に2つルールを言い渡されます。「何があっても走るな」「私の前には出るな」です。

島には当然檻や塀などは無く、ただただ野生の山です。そこを「今日はあの辺にいるかな?」と探しに行くスタイル。途中横から野生のイノシシが出てきたり、シカが逃げまどっていたり、コモドドラゴンのフンをみつけたりと緊張感しかありません。ちなみにコモドドラゴンのフンは白いです。「なぜ白いの?」と聞くと「動物を骨ごと食べるからだよ」と笑顔で答えてくれました。1時間ぐらい山を登ったのですが、美しい蝶や見たことの無い昆虫を見る事はできましたが、肝心のコモドドラゴンは見付けられず一旦下山。

 

前日雨が降ったのでコモドドラゴンは海辺に降りているかもしれないとの事。しばらく歩くと少し開けた場所に出たところでレンジャーが「動かないで!」と私たちを制しました。

小型のコモドドラゴンを発見。(第一ドラゴン)
おなかをぺったり地面にくっつけて動く気配のない事を確認して手招きしてくれました。想像より小さいですが、人間を見ても逃げません。全く動かないので作り物かと思うほどでした。しばらく観察してもっと動いている大型の個体を探しにいきました。

 

海辺まで下山すると突然レンジャーが移動している超大型個体を見つけてくれました。ヘラクレス君と名前の付けられたこの島で一番大きな個体に出会う事ができました。滅多に見ることが出来ない個体だそうです。

移動している大型個体に気づかれないように大きく迂回して先回りします。さすがレンジャー移動した先で伏せて待っていると向こうからやってきました。

近くで見ると相当デカいです。近くで写真なんて絶対無理なサイズです。アレに追いかけられた事のあるイモトアヤコを本気で尊敬しました。

先に移動して通り道にカメラをスタンバイ。動画の撮影を試みた結果、とても良い映像がとれました。

という事で無事コモドドラゴンの撮影が出来満足して、またオンボロ木造船でたっぷり時間をかけて帰りましたとさ。

 

その後数日滞在しましたが、こんな最果ての島国に来ても現地の人はみなスマートフォンを持って、洋服を着て、ナマリは有るものの英語を話しています。建物はいわゆるnLDKの作りを持つブロック造。どこかで見たことのある風景だと感じました。

では、日本はどうか?
土の瓦、木が剥き出しで出た柱、土の壁、イグサの畳、木の床、他のどの地域でも見られない独特のスタイルを持つ住居が多く残っています。英語は人によっては通じるものの、ほとんどの人は日本でしか通じない日本語を話す国。
本当に秘境なのは日本の方なのかも。と感じずにはいられない旅でした。

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