住宅

自然風の考え その2 by河村

前回、自然風に関する大まかな考え方について書きました。

今回は大垣市の通風状況について少しお話しします。

 

先ずは大垣市のデータをみてみます。

開口に適した方位の判定表をみてみます。このデータは6月~9月の状況を示しています。
特に注目すべきは東西方向の風向です。南北方向よりも東西方向の方が風の吹く頻度が高いです。
住宅だと、西向きの窓は作らずに南北方向の窓に重点が置かれがちですが実は大垣市の場合東西方向の窓が通風にとっては重要である事が分かります。

 

ただし、西側の窓は夏季の日射量が強いため大きな窓は作りにくいのです。

そんな時どうするか?

 

そんな時の「答えの一つ」が北側の窓の「ウィンドキャッチャー化」です。

 

通風を定量的に表す場合私達は「換気回数」という言葉を使います。

一時間当たりその部屋を何回空気を入れ替える事が出来るのか?を指標としています。

図のような状態の時、?のところはどれくらいの数字になるでしょうか。

 

答えはなんと“13.2回”です。“6倍以上の通風量”がとれる結果となります。

この結果はシュミレーションによって測定した数値ですから実測値ではありませんが、おおよそ現実に近い数値となっています。これらの内容は、南雄三さん著の通風トレーニングにも詳しく内容が書かれています。

 

この結果こそ「設計」の醍醐味の一つです。
同じ大きさと同じ位置の窓を設けても開き方や地域の通風状況で全く効果が変わってきます。
私達は窓の位置、開き方、大きさも意味を考えて設計を行います。

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