住宅

家の記憶 by河村

住宅を作る上で良い家とは何でしょうか?断熱性の高い家?燃費の良い家?地震に強い家?便利な家?カッコいい家?色んな答えがあると思います。

 

住宅の性能は大まかに分類すると「耐震性能」「環境性能」「間取り性能」の三つがあると考えています。

 

耐震性能は地震にどれだけ耐えうる構造であるのか?建物強度性能。

環境性能は建物の快適性を高める設備の性能。具体的には換気設備や断熱材、窓などの設備性能です。

それともう一つが間取りの性能です。

耐震性能や環境性能については数値化することが出来ます。指針があったり具体的な基準がありますから、何度でもどんな場所でも再現可能な技術です。

 

ところが間取りの性能は数値化することが困難で、かつ、人によって良い悪いの評価がかわります。だからこそ、自分が信じている「良い/悪い」を真剣に考え、お客様と共有する必要があります。「価値観の共有」であると言い換えても良いと思います。

 

私が家を設計する際に大切にしている価値観の一つに「記憶に残るかどうか?」があります。「自分の家が好き=家に愛着がある」からだと考えると、愛着の源泉は家で過ごした特徴的な記憶に他なりません。

具体的には「座る」をデザインすることが多いです。
一般的には、ご自宅で過ごす時、立って過ごす時間は多くないと思います。自宅で過ごすときの殆どが「座っている」もしくは「寝そべっている」ことが多いのではないでしょうか?
子育て中の忙しい女性の場合は、座る間もなくほとんどの時間立っているかもしれませんが…

 

そう考えてみると、ご自宅の中で座っていることが出来る場所は、リビングのソファや自室の椅子、ダイニングの椅子がすぐ思いつく場所ですが、実はそんなに多くはないのではないでしょうか?

ですから、設計の中で意識的に建築を使って座る場所をなるべく多くちりばめる事をします。そうすることで家でそれぞれに過ごせる場所を増やして家での思い出を少しでも多く作る事が出来るのではないかと考えています。

スタッフコラム一覧へ