住宅

大垣市のお醤油屋さん by奥村

工事でお世話になるガス屋さんから頂いた名刺に
「木戸屋醸造株式会社」と書かれてありました。

「失礼ですが醸造ってもしかしてお醤油屋さんですか。」
と聞くと
「はい、昭和22年から昔ながらの製法で醤油をつくっています。」
と言われました。
昔、酒屋さんやお米屋さんはお酒やお米を各家まで配達していたので、同じ定期的に交換が必要なプロパンガスも販売されているところは現在も多いですが、それよりも醸造所が現在も大垣市にあるとは大変驚きました。
さらに詳しくお聞きすると、戦後間もない昭和22年の創業から70年以上たった今でも、手作りで手間を惜しまず、“岐阜県産の大豆と小麦”、そして“大垣の湧き水”を使って、“できるだけ添加物を使わない”でつくられているとのこと。現在では三代目の息子さんが家業を継いでみえるということでした。

 

是非地元の醤油を賞味したいと思い後日お店に伺うと、名波社長に工場を案内して頂けました。ちょうど大きな釜で大豆を蒸煮しているところで、時間がたつにつれ蒸された大豆の香ばしい匂いが漂ってきました。奥を見渡すと大きな木製の樽が所狭しと並んでいました。名波社長に製造工程をお聞きすると、粗目に挽いた小麦粉と蒸した大豆を混合し、樽に入れて一年間熟成させるそうです。その後搾りだした醤油を火入れした後、ろ過して製品となるそうです。

 

醸造にはこの木の樽が一番適しているのですが、この樽を作ってくれる職人さんが止めてしまったらしく、樽が痛んでも補修することができない。それが原因で醤油づくりを止めてしまう醸造所もあるとのことでした。

 

工場に高く掲げられている大きな切り板には

雨にも負ず
風にも負ず
此の大樹を鏡に
木戸屋

と創業者の想いが書かれてありました。
醸造所を続けるのは本当に苦労が多いとしみじみと社長はおっしゃっていました。しかし先代の思いを受け継ぎ、どんな困難にも負けずに守ってこられた思いに心打たれ、凄く勇気を頂けました。それと共に、この素晴らしい地の食の文化を残し誇ることも、大垣の暮らしを豊かにすることだと思いました。

 

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