住宅

敷地を読む その3 by河村

土地の状況

10年ほど前に弊社が大垣市で設計させていただいた物件で、比較的密集した住宅地での設計でした。

敷地の状況は図のような土地でした。北側の道路に接して、南、東、西の三方を背の高い住宅に囲まれた敷地でした。一目みて、「日当たりとしては非常に厳しいな」と感じました。お客様の新しい家への期待とは裏腹に現場の状況は簡単ではありませんでした。

とにかく、現状を把握するために『日影図』を書きました。日影図とは、太陽高度と周囲の建物状況から設定した床面に影がどのように推移するのか書く図面です。一般的には『日影規制のある地域』で使うものですが、弊社では日影規制がなくとも書きます。

日影図を基に現場状況確認すると、スケッチ1のような状況でした。

一階の床面では午前中、午後から共に日差しがさしにくい面積が非常に大きいことが分かりました。

セオリー通りに1Fの南側にリビングを計画したのであれば、全く日の差さない暗いリビングになってしまった事でしょう。そこで、お客様に2FのLDKのプランを提案しました。

2Fにリビングが来ることでスケッチ2の様な状況が生まれ、日当たりのよい快適なリビングを生むことが出来ました。

大垣の地域では1階にLDKを設けることが多いです。当然皆さんもその生活に慣れていますから、2階にLDKとなると少し抵抗があるかもしれません。

しかし、快適なリビングを得るための条件であることが分かれば、納得していただけるはずです。

写真のように、中の付いた明るい2Fリビングを提案できました。

 

敷地の状況を読み状況を整理して提案する「理」が私たちの設計の根底にあります。

決してただの見た目や、直観的なデザインに頼るわけではありません。「意味」を大切にした設計にしたいと思っています。

 

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