敷地を読む その1 by河村
「敷地からヒントをもらう。」
学生の頃、建築家・安藤忠雄のデビュー作「住吉の長屋」や「TIMS」に心奪われた。何度もプランをトレースしたり、模型を作ったり。現地を見に行ったり。写真集を擦り切れるほど読んだり。強烈なインパクトだったし、とにかくカッコよかった。 そのカッコよさの秘密は特に建物本体のデザインにあると当時は思っていた。
建築を仕事にしてから、建物と敷地の関係の大切さを感じてから改めて「住吉の長屋」を見るとまるで見え方が違った。
「もしこの建物がこの場所になかったら、この建物はカッコよく見えるだろうか?」
そう感じた。
大阪、住吉の下町にある長屋の一区画という特別な敷地だからこそ、小さなコンクリートの箱に中庭というプランに説得力をもたせている。 もし、ほかの土地ならば、そもそも中庭の必然性はなく、物調面のあのファサードは虚しいだけだと思う。
敷地があるから、建物のデザインが生きる そんな建物にするために敷地の状況や、環境を設計の中で大切にしていきたい。と考えています。
※写真「長屋が建て替わった様子 」
転載元
http://miraie-future.net/house/small-house/tadaoando-sumiyoshi/
