リズム感のある家
「工務店やハウスメーカーではできないって言われたんです。」
暮らしやすさは人それぞれ。広いリビング、高い天井、段差のない家…。一般的に良いとされる家がすべて正解ではありません。私たちが提案する「暮らしやすさ」とは、「自分らしさ」。家づくりで大切なのは、いつまでも愉しく、自分らしい暮らしができることです。
Sさんの思いも私たちと同じでした。
「建売住宅のような、似たり寄ったりのありきたりな家じゃつまらない。とにかく面白い家に住みたいんです。工務店やハウスメーカーでは、なかなか理想が形になりませんでした。」
そう言うSさんへ私たちが提案したのは、『段差のある家』です。キッチンへ1段、ダイニングへもう1段と、空間を段差でほんのり区切ることで、ワンルームの部屋にリズム感が生まれました。
また、リビングはあえて作らず、家族がそれぞれ好きな時に、好きな場所を選んで、自由に過ごせるような間取りを提案。ダイニングには出窓風のベンチを造作し、サンルームの暖炉前には構造体の柱を活かしたベンチを。そしてその周りには、本やおもちゃなど、自由な時間を過ごすために必要なアイテムを収納する場所も備えました。
中庭のテラスも、自由に過ごすための場所のひとつです。サンルームとテラスの床はほぼフラットに。仕上げのタイルを揃えることで、中にも外にも広がりを演出しました。大きな木製の掃き出し窓を開けると一体感が生まれます。
コの字型の家の真ん中にあるテラスは、外からの視線を気にせずくつろげるプライベート空間。バーベキューやプール遊びはもちろん、あたたかい昼下がりにはハンモックでお昼寝なんてこともできそう。家の中から中庭の様子がよく見えるので、安心して子供たちを遊ばせることができます。
家族がそれぞれ別々の場所にいても、別々のことをしていても、お互いの気配を感じながら自由に過ごせる家。ちょうど良い広さ。ちょうど良い間取り。ちょうど良い段差のある『オモシロイ家』が完成しました。
LDK(キッチン奥はパントリー)
勾配天井で部屋に広がりを
リビングがないSさん宅には、時間によって使い方を替えられる和室を一部屋用意しました。昼間は子供の遊びスペースに、夜は布団を並べて家族の寝室に、来客時には客間として。建具で仕切ることができるので、個室としても使えます。
和室は天井高を抑えて落ち着きのある空間に。一番低いところで2m程度になっている和室の天井は、緩やかな勾配にすることで遠近感ができ、部屋を広く感じさせる効果が。
和室の緩やかな勾配天井は、ダイニングへと続いています。和室の垂れ壁をガラスにしたことで天井がつながり、ここにも広がりを感じさせる効果が。こじんまりとした家でも、空間の仕切り方や視覚効果で十分広さを演出することができます。
ダイニングと和室を仕切る片引き戸は、1.5m幅の1枚の大きな扉を造作。引手が目立たないスタイリッシュなデザインに。閉め切っていても建具感がなく、まるで壁の一部のようです。