辞典

縁側と軒

住まいに関わる技術用語録
更新:2016年09月07日 (水)

小さい頃、夏休みに父親の実家へ遊びに行くと、井戸水で冷やしたスイカを、縁側で種を飛ばしながら食べたことを思い出します。昔の家は南側に縁側があって、外から来た人が靴のまま腰掛けて話をしたり、お茶を飲んだりしていました。

 

最近は縁側をつけることはほとんどなくなり、外と中の境はサッシだけになりました。それでも南にデッキをつくることは、濡れ縁文化のなごりだと思います。私たちはこうした外でもなく中でもない、あいまいな空間が好きなのです。

また、縁があるのと同時に軒がありました。軒が深いと、ガラスに直接雨があたらないだけでも、梅雨のジメジメした気分を少なからず和らげてくれます。少々な雨であれば、窓を開け放しても、雨が部屋に入り込むこともありません。

加えて夏の日差しも防ぐことができます。外と中をダイレクトに繋ぐのではなく、縁側に軒を出すことによって、より居心地良く暮らせると思います。

 

ただそのまま軒を出すと、デザイン的に上手くいかない場合は、現代風にアレンジして縁側の形を考えてみると面白いのではないでしょうか。